頭皮の血行促進は、薄毛に良い場合も悪い場合もあります。
ここでは頭皮の血行促進が薄毛に良い理由と悪い理由それぞれについて見ていきたいと思います。
頭皮の血行促進が薄毛に良い理由
頭皮に充分な栄養を届けるから
頭皮には毛細血管がたくさんあるのですが、血行が滞ってしまうと薄毛改善のために必要な栄養が運ばれません。
そのため、毛根細胞が枯れた土壌のようになって薄毛や脱毛などの症状が出ることがあります。
食事でもサプリメントでも体内に取り込まれた栄養分は、1度血中に溶け込み体内を巡ります。
脂肪分を摂りすぎたり運動不足で筋肉量が足りなくなると血管の働きが悪くなり、せっかく摂取した栄養も必要な場所に届かず尿として排出されてしまいます。
このように血行を良くすることは、薄毛に限らず健康のために必要です。
新陳代謝を活発にするから
血行が滞るとリンパや水分の巡りも同じように悪くなり、老廃物が溜まりやすい体質になります。
そうすると新陳代謝が鈍ってしまったり、それらの分解のために薄毛改善に必要な栄養が使われてしまいます。
さらに血行不良が進むと、毛根にある毛母細胞や毛包の細胞分裂も鈍くなり、発毛サイクルもどんどん乱れていきます。
血行が良くなると栄養と酸素が毛細血管まで届き、体の免疫力も上がるので健康の面でも効果的です。
さらに薄毛の原因となる皮脂腺や汗腺の詰まりの改善も期待できます。
AGA(男性型脱毛症)の専門外来では、血行を良くする薬を処方されることから考えても、血行を良くすることが薄毛対策にとても効果があります。
内面からの血行促進が効果的
頭皮の血行促進が薄毛対策に良いとはいえ、いきなり外部からの刺激を与えては、逆効果になることもあります。
薄毛の症状が出ている頭皮はとてもデリケートな状態です。
刺激に弱い状態のままブラシで頭皮を叩いたりするとかぶれたり、荒れたりしてかえって薄毛を促進する結果になるかもしれません。
そのため、まずは適度な運動や栄養療法によって体内の血行を良くすることが大切です。
体内の細胞の働きは1日2日では変えられません。
なので薄毛改善をするためには数ヶ月から半年単位を目安にすることが大切です。
頭皮の血行促進が薄毛に悪いと言われる理由
地肌のかぶれや肌荒れの原因になる
頭皮の血行促進によって、肌のかぶれや肌荒れを引き起こしてしまうことがあります。
薄毛の症状が出ている頭皮は、ダメージを受けやすいナイーブな状態です。
その状態のまま外部から刺激を与えると、地肌が赤く荒れたりして逆効果になるケースがあります。
薬によって頭皮の血行促進をする場合も同じで、薄毛治療で血行を良くする薬を服用した時、頭皮に炎症が出たりかゆみなどの副作用が出るケースも多く報告されています。
さらに戦前に行われた実験ではありますが、血行を悪くした方が育毛効果が得られた実験結果もあります。
薄毛を改善したいあまりに血行を良くすることばかり重視すると、頭皮環境が荒れ、地肌のかぶれや肌荒れの原因になってしまいます。
頭皮を叩くのは逆効果
頭皮の血行を良くするためにブラシで頭皮を叩く方法がありますが、それは逆効果です。
頭皮が炎症を起こしてしまったり、赤くなってしまう恐れがあります。
さらに、頭皮を叩くと男性ホルモンのテストステロンが活発になる研究結果も報告されています。
テストステロンと5αリダクターゼと呼ばれる酵素が結合して、DHT(ジヒドロテストロン)に変化します。
このDHTが多く分泌されることが、AGA(男性型脱毛症)の原因です。
薄毛対策のために良かれと思ってしていたことが、却って薄毛を進める結果になるかもしれません。
さらに、外部からの刺激によって得られる血行促進効果は一瞬だけに過ぎません。
寒い時に手を何度も握ると一瞬の間暖かくなりますが、しばらく経つと元に戻ってしまうのと同じです。
一般的に人気の方法ですがあまりメリットがないので、やらない方が良いでしょう。
シャンプーの頻度にも要注意
血行を良くするために1日に何度もお風呂に入って頭を洗う人も多いですが、逆効果です。
お風呂で体を温めて何度も頭皮をマッサージしながら洗髪すると、確かに血行は良くなりますが薄毛対策にはなりません。
シャンプーは洗浄成分が多く含まれているので、1日に何度も使うと必要な皮脂なども取り去ったり、余計な刺激を与えてしまいます。
その結果、乾燥を招き余計に皮脂を分泌させ毛穴に悪影響を及ぼすリスクがあります。
薄毛対策で頭皮の血行促進をする方法
適度な運動を取り入れるのが1番
頭皮の血行を良くするためには、日常生活に軽い運動を取り入れるのがおすすめです。
血流は全身を巡り巡っているので、どこか局地的に血行を良くするのは困難です。
そのため、全身の血行を良くすることが頭皮の血行促進に最適な方法と言えます。
特に運動不足の人は、週に1、2回高強度のトレーニングをするよりは、軽い運動を毎日続けることを推奨されています。
一駅分歩いたり、眠る前にいつもより丁寧にストレッチをするだけでも効果があります。
できれば1日おきに筋トレを行うと良いでしょう。
筋肉が付くと血流を押し出すポンプの役割をしてくれたり、薄毛だけでなく肩こりや腰痛の改善も期待できます。
血液サラサラ成分を取り入れよう
食品の中には血流を悪くするもの、良くするものがあります。
動物性たんぱく質や脂質は、丈夫な筋肉の原料や体を動かすエネルギーになるものの、必要量を超えると血管に留まって血流を妨げてしまいます。
血液をサラサラにする成分が入っている食材は玉ねぎ、納豆、魚、海藻類などがあげられます。
なめこやオクラ、めかぶなどのヌルヌルは食物繊維の一種なので、苦手でなければそれらの食材を摂ることもおすすめです。
外食が多い人は、いつもの定食に小皿1つプラスするだけでも効果があるので、積極的に摂取すると良いでしょう。
もし好き嫌いがあったり忙しい時には、サプリメントや有効成分が高濃度で配合されている健康食品を利用しても効果があります。
頭皮マッサージも有効
頭皮が固くなっていたら血行不良の合図なので、丁寧なマッサージで血流を良くしましょう。
専用の器具もありますが、手で行う方が頭皮を傷つけず細かいところにも対応できておすすめです。
手を軽く開いて熊手のようにして、耳の上から少し強く手櫛をかけるようにして頭皮をマッサージしましょう。
頭頂部や生え際の近く、うなじのあたりには薄毛改善の為のツボもあるので、丁寧にほぐすとより効果が見込めます。
まとめ
頭皮の血行促進について見てきました。内容をまとめると以下のようになります。
- 血行促進により栄養が行き渡り新陳代謝が良くなる
- 血行促進により肌荒れや地肌のかぶれが起こることもある
- 適度な運動で全身の血行を良くすることが大切
頭皮の血行を促進することで栄養が行き渡り薄毛の改善に効果がありますが、頭皮の血行を良くすることばかりに集中しすぎてしまうと逆効果になることもあります。
薄毛改善のためには全身の血行を良くすることを意識して、毎日少しずつ運動を取り入れてみて下さい。薄毛だけでなく健康増進にも効果があるでしょう。