頭皮の皮脂は、過剰に分泌されてしまうと毛穴を塞ぐなどして髪の毛の成長を妨げます。
しかし皮脂があるからといって、全ての人が薄毛になっていくかと言うとそうではありません。
ここでは皮脂が薄毛を招く原因、皮脂の多い人は薄毛になるのか、皮脂と薄毛は関係ない理由について、見ていきたいと思います。
頭皮の皮脂が薄毛を招く原因
皮脂が薄毛の原因となる2パターン
脂漏性脱毛症
頭皮の皮脂が過剰になると肌荒れやかゆみを引き起こし、酷いときには炎症を引き起こします。
そのような劣悪な頭皮環境では髪に充分な栄養が補給できず、抜け毛につながります。
脂漏性脱毛症の症状には、頭皮の臭いやべたつき、かゆみ等があります。
市販のクリームなどでは症状が悪化してしまうことも考えられるので、症状が現れたら皮膚科を受診して医師の適切な判断を仰ぎましょう。
毛穴の詰まり
皮脂が過剰に分泌されると毛穴が詰まってしまい、髪の成長が阻害されることがあります。
皮脂の過剰分泌を防ぐことはもちろん、洗髪時に頭皮マッサージをするなど皮脂を揉み出すことも大切です。
皮脂が増える原因
脂質の摂り過ぎ
脂っこい食事ばかり食べていると皮脂の分泌量が増えます。
肥満や生活習慣病の原因にもなるので、普段からバランスの良い食事を心がけましょう。
シャンプーのすすぎ不足
入浴時に使用したシャンプーが残っていると頭皮にダメージを与えてしまい、皮脂の分泌量が増えてしまいます。
市販のシャンプーは洗浄力が強いので、頭皮に残らないようにしっかりと洗い流しましょう。
洗う時間よりもすすぎの時間を長めに取ることが大切です。
シャンプーが合っていない
シャンプー自体の洗浄力が強すぎたり使用者の肌質が弱かったりすると、頭皮に大きな負担がかかり皮脂の分泌量が増加します。
かゆみや炎症の原因にもなるので、自分に合ったシャンプーを使うようにしましょう。
過剰なストレスを受ける
ストレスを受けると体内では男性ホルモンの分泌量が増加しますが、この男性ホルモンには皮脂の分泌を促進する働きがあります。
そのため、ストレスを受け続けると頭皮の皮脂分泌が増加し、薄毛や抜け毛の原因となってしまいます。
男性ホルモンは女性の体内にも存在しているので、女性だからといって安心できるとは限りません。
定期的にストレス発散をしたり、ストレスの要因自体を排除することが大切です。
頭皮が脂っぽい人は薄毛になりやすいか?
よく頭皮が脂っぽい人ほど薄毛になりやすい、ハゲている人は皮脂が多いと聞きますが、実はこれは半分正解で半分間違いです。
生まれつき肌が脂っぽい人や頭皮がテカテカした人は、それだけが原因で薄毛になってしまうことはありません。
なぜなら、人よりも皮脂の分泌が多かったり普段の洗髪が少し足りないぐらいでは、頭皮に大きなダメージを与える程まで皮脂が毛穴を詰まらせたりしないからです。
もちろん、生活習慣の乱れや脂質の高い食べ物の食べ過ぎで、異常な量の皮脂が分泌されてしまうと薄毛の原因になります。
脂質の摂りすぎは髪の成長を妨げる
揚げ物等の油を多く使用した食べ物を食べ過ぎると、油は脂質そのものですので、頭皮に皮脂を過剰分泌させます。
頭皮に分泌された皮脂は、適量であれば頭皮の保護や保湿の役割を果たしてくれますが、過剰な場合は毛穴を詰まらせて毛根を圧迫させ、頭皮の血行を悪くして髪の毛の成長を妨げます。
AGAを発症すると皮脂の分泌が増える
頭皮の脂っぽさは、皮脂の異常分泌以外は薄毛との関連性が少ないことが分かりましたが、実は薄毛の人は頭皮が脂っぽい割合が多いのも事実です。
その原因はAGA(男性型脱毛症)です。AGAを発症してしまうと、ホルモンバランスが崩れ頭皮の皮脂の分泌が増えてしまいます。
つまり「頭皮が脂っぽくて薄毛になった」のではなく「AGAだから頭皮が脂っぽい」状態です。
洗浄力の強すぎるシャンプーに注意
近年では減ってきましたが、一昔前にシャンプーメーカー等がこぞって「皮脂汚れを取り除けば育毛できる!」と広告を出した影響で、頭皮が脂っぽいと薄毛になってしまう認識が広まったようです。
脂っぽさを気にして洗浄力の強過ぎるシャンプーを使用し続けていると、皮脂を必要以上に減らしてしまい、頭皮が満足に保護されなくなり薄毛の原因となる場合がありますので注意しましょう。
頭皮が脂っぽくて薄毛に悩んでいる方は、AGAの可能性が高いです。皮脂を取り除くために様々な努力をしてみるより先に、どこか最寄りのAGAクリニックで一度無料相談を受けてみてはどうでしょうか。
皮脂と薄毛は関係ないと言われる理由
頭皮が脂っぽいからといって薄毛になるわけではありません。
頭皮の皮脂と薄毛は関係ないとされる一番の理由が、現代において主な薄毛の症状とされるAGA(男性型脱毛症)です。
AGAは男性ホルモンの異常分泌によって発症する
AGAは、額の生え際や頭頂部付近の髪が、時間の経過と共にどんどん薄くなっていきます。若い男性の薄毛のおよそ9割がAGAだと言われています。
AGAは進行性ですので、自然治癒する例がほとんどありません。そのまま何の対処もせずに放っておくと、日に日に状態はひどくなる一方です。
AGAは男性ホルモンの異常分泌が元で発症します。発症する原因と頭皮の皮脂は一切関係が無いのです。
加齢や生活習慣の狂い等、何かのきっかけで男性ホルモンの分泌量がおかしくなると、テストステロンという物質が過分に頭皮に分泌され、毛根が傷んでしまい髪の毛が育たなくなります。
髪の毛が育たなくなると、ヘアサイクルもおかしくなりはじめます。生えて間もない毛が抜けてしまったり、生えるはずの場所に毛が生えてこなくなったりして、薄毛になってしまいます。
まだAGAの存在が解明されていなかった頃、薄毛の原因は頭皮の皮脂汚れに間違いないと信じられてきました。
皮脂=悪をアピールしたシャンプーが多いが、薄毛への効果は無い
そこに便乗する形で、育毛剤やシャンプーのメーカーが、皮脂を取り除く商品を売り出すために「皮脂=悪」の認識をアピールしはじめたのです。
今でも頭皮の皮脂を取り除くための商品が多く売られています。頭皮がすっきりして気持ちの良いものですが「薄毛の直接の原因を取り除くことはできない」ことを覚えておいてください。
「脂漏性皮膚炎」が原因の薄毛は例外
しかし、中には例外もあるのでご注意ください。それは「脂漏性皮膚炎」が原因の薄毛です。
脂漏性皮膚炎とは、異常な皮脂の分泌で皮脂内に雑菌が増殖しすぎることによって、皮膚が炎症を引き起こすことです。
そして脂漏性皮膚炎が頭皮に発症してしまうと、毛穴の回りが炎症を起こして毛髪に栄養を送らなくなり、薄毛に繋がります。
脂漏性皮膚炎は、AGAや生活習慣の乱れ、油っこい食べ物の過剰摂取等が重ならないと発症しません。
自分の日々の生活に心当たりがあり、頭皮に異常なべたつき、痒みや突っ張るような違和感を感じた場合は、一度病院で診察を受けてみましょう。
まとめ
頭皮の皮脂と薄毛の関係について見てきました。内容をまとめると以下のようになります。
- 脂漏性脱毛症や毛穴の詰まりなど皮脂が原因の薄毛がある
- 頭皮の皮脂が多いから薄毛になるわけでは無い
- 脂漏性皮膚炎の場合は皮脂が原因なので例外
頭皮の皮脂は、トラブルの原因と捉えられていますが、適度な皮脂は頭皮にとって必要なものです。
食事で油脂分を過剰に摂取することや、洗浄力の強すぎるシャンプーで毎日頭皮を洗うことなど、過剰な行動は薄毛を進行させてしまうこともあります。
皮脂をコントロールしようとする前に、薄毛の原因が何かをはっきりさせて症状に合わせた対策を行っていきましょう。