AGA治療を始めると筋トレの効果がなくなるという話を聞いたことがありますか。
AGA治療は進めたいけど筋力強化もしたいという人にとって、どちらかを選ばないといけないのは難しい選択ですよね。
そこで、今回はAGA治療をしていると筋トレの効果がなくなると言われる理由についてご紹介します。
AGA治療をしていると筋トレの効果がなくなると言われる理由
筋トレの効果を半減する可能性
筋力アップをしたい場合、AGA治療を不安に思う人が多いです。
実際にAGA治療を経験した人の中では、筋トレの効果がなくなるとする意見と、たいした影響はないとした意見に分かれています。
男性ホルモンのバランスに作用
筋力アップに影響があると主張する人の意見は、プロペシアやザガーロなどの内服薬は男性ホルモンのバランスに作用するためだとしています。
プロペシアの主成分のフィナステリドは、Ⅱ型5α-リダクターゼと呼ばれる酵素の働きを阻害する効果があり、AGA脱毛の原因のDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑えてくれます。
フィナステリドはテストステロンの分泌は抑えたり、働きを鈍らせることがないため、健康面でのリスクはほぼないとされていますが、臨床試験においてDHT(ジヒドロテストステロン)の分泌量が減少し、性欲減退や性機能の障害、乳房肥大などの体の女性化が報告されています。
しかしこれらの症状は5パーセント未満の発生率のため、そこまで気にする必要はありません。
筋肉量の増加が望みにくい可能性
注目したい点はDHT(ジヒドロテストステロン)には、筋肉を強化するイソロイシンと呼ばれるアミノ酸の取り込む効果があることにあります。
ところがテストステロンは、このイソロイシンを取り込む作用はないため、プロペシアやザガーロを服用中の筋肉トレーニングの際にプロテインやアミノ酸を摂取しても、体内に取り込む割合が少なくなり、筋肉量の増加が望みにくい可能性はあります。
プロレベルでトレーニングをする人なら影響は感じやすいかもしれませんが、日常レベルで体型を維持したい場合はAGA治療とトレーニングを両立することは可能です。
しかし、体質によっては男性機能が低下する副作用が出やすい場合などもあるため、筋肉トレーニングをしたい人はかかりつけの医師に相談すると良いでしょう。
どうしても気になる場合には、内服薬を男性ホルモンに関係するものではなく、血行不良を改善にするものに変えたり、外用薬をメインに使うようにするのがおすすめです。
筋トレをしていると薄毛になりやすいと言われる理由
男性ホルモンと薄毛の関係
エール大学の解剖学者ジェームス・B・ハミルトンは、1940年代に薄毛の研究を進めていました。
1942年に作成した薄毛症状の進行をチャート化したノーウッド・ハミルトンチャートは、現在のAGA治療においても重宝される貴重な資料です。
ハミルトン氏は、男性の薄毛がホルモン分泌と密接な関係を持っているのではないかと考えていました。
そこでアメリカの知的障害者収容所で、とある実験が行われました。
今となっては考えられないことですが、当時知的障害者は攻撃性を抑えるために去勢されるケースがありました。
とある一卵性双生児の男性は、2人の中で弟だけが去勢されており、兄は薄毛の症状が出ていて弟は出ていませんでした。
それに興味を持ったハミルトン氏は、薄毛の症状の出ていない弟に男性ホルモンのテストステロンを投与したところ、兄と同様の薄毛の症状が出ました。
その他100人以上の去勢済みの人を対象に同様の実験を行いましたが、AGAの症状が出ていなくても家族に薄毛の人はいる場合は薄毛になり、家族に薄毛の人がいない場合はAGAの症状が出ませんでした。
この実験から、AGAには男性ホルモンと遺伝子が深く関係していることが分かります。
さらに研究が進んだ現代では、AGAの直接的な原因は、テストステロンがⅡ型5α-リダクターゼと結合したDHT(ジヒドロテストステロン)だと分かっています。
この実験ではテストステロンが増えたことに伴い、DHTの分泌量も増えて薄毛の症状が出たものとみられます。
筋トレによって男性ホルモンの分泌が増える
負荷をかけて筋肉量を増やすトレーニングは、体内のテストステロン値も上昇させてしまいます。
テストステロン値が上昇すると体系維持だけでなく、精神安定効果や骨や皮膚を丈夫にする作用があります。
そのためAGAになりやすい遺伝子を持っている人が筋肉トレーニングをすると、AGAの症状が出やすくなる可能性が高まります。
家族に薄毛の人がいる場合は、トレーニングを始める前に専門外来で相談することをおすすめします。
AGA治療をしている人は筋トレをしても良い?
筋トレはAGAと直接的な関係はない
筋肉トレーニングをすると薄毛が進む噂がありますが、医学的には直接的ではなく間接的に関係があります。
AGAの原因は男性ホルモンと呼ばれるテストステロンが5αリダクターゼと結びつき、DHT(ジヒドロテストステロン)に変化することです。
ウエイトトレーニングのような負荷をかけたトレーニングをすると、性別関係なくテストステロンが分泌されます。
それと同時にテストステロン誘導体のDHT(ジヒドロテストステロン)が増えるため、結果的にAGAの症状が出ます。
テストステロンは精神安定にとても効果があり、うつ病予防にも取り入れられています。
DHT(ジヒドロテストステロン)も、アミノ酸を吸収しやすくして筋肉がつきやすくなる大切な役割があります。
AGAによる薄毛の症状は遺伝や個人の体質も関係するため、トレーニングすると薄毛になるとは一概に言えません。
気になる人は筋トレの時間を短くして有酸素運動を取り入れたり、専門家に相談の上指示を仰ぐと良いでしょう。
AGA専門外来でのカウンセリングを
筋トレをすると、トレーニングにかけた負荷の分だけ男性ホルモンのテストステロンが分泌されます。
5αリダクターゼがあるテストステロンと結合して、AGAの原因になるジヒドロテストステロンが増えてしまいます。
そこでAGA専門外来で、5αリダクターゼ酵素を抑える作用のあるプロペシアやザガーロを処方してもらえば、ジヒドロテストステロンの発生を抑えることができます。
注意したいのは、ジヒドロテストステロンにはイソロイシンと呼ばれるアミノ酸の一種を取り込み、筋肉を作りやすくする作用がある点です。
薬で生成を抑えると従来よりも筋肉がつきにくくなる可能性があります。
AGA治療をしながら筋トレをしたい場合は、筋肉が成長しやすいように、タンパク質を多く摂るよう心がけ、トレーニング時にかける負荷を大きくすると良いでしょう。
まとめ
AGA治療と筋トレの関係性について見てきました。
内容をまとめると以下のようになります。
- AGAによる薄毛の症状は遺伝や個人の体質も関係するため、筋トレ=薄毛になるとは一概に言えない
- AGAになりやすい遺伝子を持っている人が筋トレをすると、AGA症状が出やすくなる可能性が高まる
- 男性機能低下の副作用が出る場合があるため、副作用が出にくい薬を選択するのがおすすめ
AGA治療時の筋トレは科学的に関係性を示されたものではありません。
しかし、内服薬には男性ホルモンを調整する作用があるものがありますので、副作用として筋肉がつきにくくなる場合もあります。
日常的な筋トレには影響はありませんが、筋力増加など特別な筋トレを行っている人は事前に医師に相談してから治療方針を決めるのがよいでしょう。