亜鉛は、健康な毛髪のためだけでなく生命活動をささえる必須ミネラルのひとつですが、近年亜鉛不足の人が増えています。
ここでは、亜鉛を摂取することでどんな薄毛への効果があるか、摂取する時の注意点、そして副作用についてお伝えします。
薄毛対策に亜鉛を摂取することで期待される効果
髪の毛の原料であるケラチンを生成
亜鉛は、体内のタンパク質を分解し髪の毛の原料であるケラチンを生成する作用があります。
不足しているとタンパク質をたくさん取っても健康な毛髪が作られないので、宝の持ち腐れになってしまいます。
亜鉛が代謝や分解を促進するのは髪の毛だけでなく、アルコールもその一つです。
お酒をたくさん飲む人はアルコール分解に亜鉛が優先して使われるため、髪の毛を作るための亜鉛が不足してしまいます。
そのためアルコールを飲む機会が多い人は、亜鉛を多く含まれる食材やサプリメントを利用すると良いでしょう。
脱毛ホルモンを抑制
亜鉛はAGA(男性型脱毛症)の原因となる5αリダクターゼ酵素を抑制してくれます。
5αリダクターゼ酵素は男性ホルモンのテストステロンと結び付き、DTH(ジヒドロテストステロン)という成分に変化します。
DTHは毛根の細胞に作用し、発毛サイクルを狂わせるため脱毛サイクルとも呼ばれています。
元々DTHは男性らしい体を作ったり体のバランスを保つためには必要な物質で、少量ながら女性にも存在しています。
ですが分泌が活発になりすぎると、AGAやFAGA(女性の男性型脱毛症)の原因になり毛髪の減少などの悪影響を及ぼすと考えられています。
亜鉛はそのDTHが生成されるのを予防してくれ、体のホルモンバランスを正常に保つためのサポートをしてくれます。
ビタミンB6を一緒に取るとより効果アップ
亜鉛はそれ単体で取っても効果が得られるのですが、ビタミンB6と一緒に摂取するとより吸収率が上がり細胞の代謝アップが望めます。
そしてビタミンCも、コラーゲンの生成を助けたりストレスを緩和する働きがあるので一緒に摂取したい成分です。
逆に注意したいのは、亜鉛の吸収を阻む成分を一緒に口にしないことです。
食物繊維やカルシウム、タンニン、カフェインは体内の亜鉛を排出しやすくしてしまいます。
亜鉛を取る際には、一緒に牛乳やコーヒー、紅茶などを飲まないようにして下さい。
上記にあげた成分はもちろんそれぞれ健康に良い成分なので、摂取するタイミングや方法を考慮して摂るようにしましょう。
亜鉛の副作用と過剰摂取した時のリスク
過剰摂取で体調を崩すことも
薄毛対策に高い効果を持ち、AGA(男性型脱毛症)専門クリニックでもサプリメントを処方される亜鉛ですが、過剰摂取すると気持ち悪くなったりお腹を下したりする副作用もあります。
一日の必要摂取量の目安は12mg前後、薄毛治療をしている人は30mg前後とされています。
時々、薄毛対策のために飲んでいる亜鉛サプリで逆に抜け毛が増えた口コミも見かけます。
それらの原因は亜鉛の過剰摂取や、セレンやクロムが配合されている事にあります。
2008年にアメリカの政府機関が発表したレポートによると、セレンやクロムが高濃度配合されている食品を一定期間摂取すると脱毛や下痢、筋肉のけいれんなどの症状が出る場合があるそうです。
元々セレンは抗酸化作用があり健康に欠かせない成分です。
魚介類や納豆、薬味を日常的に食べる習慣のある日本人は、セレン配合のサプリを取ると過剰摂取になるケースもあり注意が必要です。
サプリメントは空腹時を避ける
亜鉛に限らず、空腹時にサプリメントを飲んで胃が痛くなった経験のある人は多いと思います。
栄養分を凝縮したサプリメントは胃が空っぽの状態で入ると、効果が高いあまりに胃を荒らしてしまう事もあります。
効率よく成分を摂取するためには、夕食を夜8時までに済ませ食後30分から1時間後に必要摂取量を飲むと良いでしょう。
過剰摂取も逆効果になる場合もあるので、専門外来で血液検査などを受けてその人に必要な量を処方してもらうのがベストです。
クリニックに行かなくても、毛髪内のミネラルバランスを検査してくれるキットがネット通販で購入できるので手軽に必要量を知ることができます。
鉄や銅の欠乏のリスクあり
亜鉛と銅は体内で1対1の濃度が理想的だとされています。
ですがサプリメントなどで亜鉛を多く補給すると、銅や鉄分が減ってミネラル欠乏症に陥る場合があります。
銅や鉄分は血行を良くしたり、体の隅々まで酸素や栄養を届ける作用があり、健康のために大切な成分とされています。
さらに銅は黒々と丈夫な髪の毛を作る働きがあるため、健やかな頭皮を作るために不可欠です。
血中のミネラルバランスは脳内伝達にも影響を与え、精神的にも重要な役割をもたらします。
ただやみくもに栄養を取らずに、自分に合ったバランスを見つけることが大切です。
薄毛対策で亜鉛を摂取する方法とサプリ
亜鉛はレバーや小松菜から豊富に取れる
薄毛対策のために積極的に取りたい亜鉛ですが、インスタント食品やジャンクフードを食べる人は慢性的に亜鉛不足だとされています。
亜鉛は体の中のタンパク質を分解してスムーズに髪の毛にする作用があるので、抜け毛を減らしたい人や薄毛予防をしたい人におすすめです。
1日に必要な亜鉛の量は成人男性で12mgが目安で、ストレスを受けやすい人やお酒を飲む機会が多い人はもっと必要な場合もあるので注意が必要です。
食材には牛もも肉やレバー、生牡蠣、小松菜やたたみイワシに豊富に含まれています。
自炊の時はもちろん、外食が多い人でも注文する際に亜鉛が含まれているものを選ぶ事で効果を得られます。
サプリメントは合理的に栄養分を摂取可能
食品で亜鉛を取るためには、生ガキで5・6個、レバーで200gが必要だとされています。
好き嫌いがあったり、毎日忙しいと亜鉛を食品から適量取り続けるのが難しい場合もあります。
サプリメントを利用すれば、ライフスタイルに関わらず手軽に必要な栄養分を摂取できます。
大手医薬品メーカーによると、サプリメントは胃を荒らす場合があるので空腹時を避けて食後30分後を目安に飲むことが推奨されています。
さらにその際には、亜鉛の吸収を阻むカルシウムや食物繊維と一緒に取らないよう注意して下さい。
他にもコーヒー紅茶、緑茶などのカフェインを含む飲料や、スナック菓子も亜鉛が排出されやすくなるので口にするタイミングをずらすのが良いでしょう。
他の栄養素もバランスよく接収するのが大事
亜鉛は薄毛対策だけでなく味覚の正常化や精神面、脳の伝達物質の活発化に強い影響があるのでバランスを取りながら摂取したい成分の一つです。
亜鉛は頭皮を健やかに調子よくするために欠かせない栄養ですが、亜鉛だけ取れば良いわけではありません。
髪の毛の原料であるタンパク質、亜鉛の吸収率を上げて代謝を促進するビタミンB6も合わせて取りたい栄養素です。
すべての栄養素を高水準で摂取する必要はありませんが、普段の食生活で足りない栄養素をサプリメントや健康食品で補うのは効率的なのでおすすめです。
まとめ
亜鉛の薄毛への効果と副作用について見てきました。
内容をまとめると以下のようになります。
- 亜鉛には髪の毛の原料を生成し、脱毛ホルモンを抑制する効果がある
- 銅や鉄分など他のミネラルとのバランスが重要である
- 食品やサプリメントを使ってバランスよく摂取すること
薄毛にとっても、健康を保つためにも亜鉛はとても重要な役割を持っています。
過剰に亜鉛だけを摂取せずバランスを意識することや空腹時に摂らないなどの注意点をしっかり押さえて、ぜひ日々の生活に取り入れてみてください。